みなさん、木下健という男にどんなイメージをお持ちだろうか。
デジタルとアナログの融合、冷静沈着で勝負強い、など相反する二面を併せ持つ男。
100万馬券的中させてからはまさに飛ぶ鳥を落とす勢い。8月には月間回収率800%を叩き出した。
そんな木下氏の素顔をお届けします。
意外な趣味から、馬券術まで、たっぷりとお聞きしました。


やんちゃだった学生時代。

──まずは100万馬券的中おめでとうございます。

木下:ありがとうございます

──今回インタビューするにあたって著書を読ませていただいたのですが、
めくってみるといきなりヤンキー時代の写真が出てきてびっくりしました。
今の冷静な木下さんからは想像もつかないんですが、
どっちが本当の木下さんですか?

木下:どっちなんでしょう?考えたこともないですわ(^^;
今、ヤンキーでないという事はきっと今が本当なんでしょうね。

──と流暢な関西弁で答えてくれた木下氏。やんちゃだった当時のことに触れるのはやや恥ずかしいご様子です。
競馬雑誌にデビューしたのが1999年、時代とともに変化することも多いと思います。
長く続ける秘訣みたいなものがあったら教えてください。

木下:秘訣なんて特にないですね。
今どきの言葉を借りて言うなら「ブレずに同じ事を続けてるだけ」です・・・かね?

──と、さらりと言ってのける木下氏でしたが、それがどれだけ難しいことか、競馬ファンなら誰もがわかるはず。
それを20年近く続けてこられた木下氏はやはりただものではない。

競馬で妻子を養う男。

──木下さんといえば「競馬で妻子を養う男」として有名です。
結婚した直後に電気工事会社の社長をやめて、馬券で生活すると宣言されたそうですが、
奥さんの反応はどうだったのでしょう。


木下:「その内そんなこと言い出すと思てたわ」みたいな感じでしたね。
そんなんでやっていけるの?とか、聞かれた事もないですね。
ウチの嫁はんは変わっとるんですよ(^^;

──た、たしかに。きっと信頼されているのだと思います。
電気工事会社をやめた理由が、単価が下がって満足のいく仕事ができなくなったからだと著書の中でおっしゃっておられました。
どんな仕事に対しても誇りをもって本気で取り組む姿には憧れます。
やはりやり始めたことはとことんやるタイプですか?


木下:いや、熱し難くて冷めやすいタイプです。
熱しにくいので、次が見つからず先に始めたことが続いてしまってる。って感じやと思います(^^;

──な、なるほど。でも競馬予想はこれからも続けてほしいです!
ちなみにお休みの日は何をされて過ごされますか?
競馬以外のご趣味など知りたいというファンの方も多いと思います。

木下:5年ほど前からマラソンを始めたんですが、今は結構嵌っててマラソンばっかりですね。

──マラソンですか!

木下:とゆうても、タイムは全然伸びず完全に頭打ちです。
タイムが伸びん分、ちょっとずつ距離を延ばして満足感をごまかしてますわ(^^;

──やはり目標はほしいですものね。

木下:実は来週(9/24)も村岡ダブルフルと言う100kmのウルトラマラソンに出るんですよ。

──100km!すごい距離延長ですね!

木下:西日本で一番ハードなコースと言われる大会なんで、私レベルでは完走出来んと思いますが、とりあえず頑張ってきます!

──はい!応援してます!

▼マラソンが趣味の木下氏。競馬の予想にも健康は大事?▼



デジタルな側面

──ここまでのお話ですと、どちらかというとギャンブラーなイメージで
あまり指数とは結び付かないですけど、指数を使うようになったきっかけは何でしょう?

木下:きっかけは「競馬最強の法則」で紹介された西田式スピード指数でした。
かなりの衝撃を受けたのは今でも忘れません。
それでアンドリューベイヤーを知り、自分で色々試行錯誤するきっかけになりました。

──西田式は一世を風靡しましたよね。アンドリューベイヤーは恥ずかしながら初耳でした。
数字や計算が元々お好きだったのですか。


木下:数字や計算は苦手で嫌いです(~~;

──そうなのですね(笑)
現在指数を使われてる方は非常に多いですが、
自分の指数はここが違う!というようなところがあれば教えてください。


木下:毎週、相当数のレースを見直し、指数を調整し直しています。
そこに掛ける労力に関しては日本一と自負しています。

競馬は生き物なんで指数通りに決まるわけではないですが、そうする事で僅か1%でも的中の可能性が上がると信じています。
また代金を頂戴する以上、投げっぱなしはあり得ない。メンテナンスは常に欠かせないと考えています。

──熱しにくいと言いつつも、仕事には真摯な木下氏。
ところでアルファベース予想のネーミングの由来が気になるのですが。


木下:会員様に募集し、いくつかの候補の中から投票して頂いて選びました。
私の糞センスではこんなカッコイイ名前は思いつけません(^^;

──(笑)。

木下健の相馬眼

──木下さんはレースを見ることを非常に重視しておられますが、
どういったところに注意して見ればいいのでしょう。
素人の我々はどうしても自分の買った馬ばかり追いかけてしまいます。


木下:私も初めはそうでした。
自分の馬券の結果を見るには買った馬を追いかけるのが当然です。
しかし次に馬券になりそうな馬を見つけるには全体に目を凝らす必要があります。

初めのうちは全体をボーっと見つめる。でええと思います。
当然一度のレースで全体を見れるわけが無いんで録画するようになる。
何度か見直してやっと全体を見渡せる。
そんなことを繰り返してる内に、徐々に何かが見え出す感じ出すと思います。

──やはり一朝一夕で身につくものではないのですね。
木下さんの戦術の一つにレベルの高いレースをみつけるというのがありますが、
レースレベルの高いレースを見つけるコツなどはございますか?


木下:これに関しては勘ですね。
というか勘なんでしょうね。
色々見ている内に何となく感じるようになったものなんで、言葉で表すのは凄く難しいです。

──その鋭い勘をもってして、
これまでに、新馬戦や条件戦の走りを見てこの馬は大成する!と思った馬などはいますか。


木下:基本的にはデビューから1~2戦目のレース内容や着差で、将来的な勝負付けも大体終わってると感じてます。
その後は調子や展開などで勝ったり負けたり色々とありますが、いくら特別な調教を積んでも結局は皆同じように並行して成長してゆく。という結論に至ってますね。
少々誤解を恐れずに言うとすれば、古馬になって頭角を現す馬がいるのは、本当に素質のある強い馬が引退したからという単純な構図。

──たしかに極論ではありますが、これはちょっと目からウロコでした。

木下:例えば今年のダービー馬レイデオロ。
2戦目の葉牡丹賞では「G1制覇も夢ではない印象を受けた。」と残しています。
2戦目でこれだけの事が感じれるパフォーマンスをする馬が結局はG1馬になるんですよね。

サトノダイヤモンドなんかもそう。
2戦目の500万下では「クラシックを意識させる能力で、値段に見合うだけの馬。」と残しています。
クラシックに勝つような強い馬は、私らのような素人眼で見ても分かる「G1を意識させるパフォーマンス」をデビューから1~2戦目で必ずします。

──それはなんとなくわかる気がします。新馬戦は負けてもなんかこの馬すごいかも、って馬はいますよね。

木下:強い馬を探すには指数よりもレースを見て感じた躍動感のようなものの方が大事。
その後は勝ったり負けたりもあるけれど、最後に役立つのはデビューから間もなくの印象。

そういう意味では、指数は強い馬を見つけるためのものじゃなく、弱い馬たちの中で馬券になりそうな馬を見つけるものと思います。
好調を持続できない未勝利や500万で、馬券になりそうな馬を見つける道具じゃないかと思ってます。

──そこを使い分けておられるのですね。

100万馬券を的中させた馬券術とは


──現在販売されているメニューでは、☆印の馬に注目し、100万馬券的中に至りました。
木下さんは常に新しい発見をされてます。
どういったことがきっかけで新しいことに気が付くことが多いですか?


木下:昔からずっと頭の中にあるのは、余計な事は考えず指数だけで勝てる指数を作りたいという事。
ABCのランキング順に勝率が高いのは当たり前ですし、指数ランクが高い馬同士で決着する回数も圧倒的に多い。
ただしそれは当然人気でもあるわけで、的中はするけれども回収率が低く、収支という点では別の切り口が必要になってくる。

──指数の高い低いは指標であって、それをどう買うかが問題なのですね。

木下:沢山あるお金をどんどん注ぎ込んで最終的にプラスになるなんて話は現実的じゃない。
出来るだけ買い目を減らして大物を釣り上げるのが一番効率の良い方法と考えます。

そのために指数をどう活かすかを常に考えています。

──以前にもお伺いしましたが、初めて木下さんを知る読者さんもいると思いますので、
現在販売されてるアルファベース予想について、
活用法などのアドバイスがあればお願いいたします。


木下:競馬のスタイルは三者三様なので一概には言えないと前置きした上で。

儲けよりも競馬を楽しむ方が優先。
95%の回収率に「楽しかった」を加味すれば105%の回収率。と思えるならばA馬からランク上位馬に素直に買えば十分満足して頂けると思います。

常に儲けは出なくても、一発逆転の瞬間がたまらない!という方にはD馬やE馬を軸に組み立てるのがおススメ。
先にも少し述べましたが、好調を持続できず好凡走を繰り返す馬券になりそうな馬を見つけるために指数は役立つと思います。
「競馬とは必ずしも強い馬が勝つわけではない」、そういう意味ではXYZなどの過去何走か以内にそこそこの指数をマークしている馬たちもおススメ。

──この用途によって使い分けられるところが木下さんのメニューの魅力ですよね。

木下:展開等が嵌れば馬券になる可能性があるのがD馬やE馬。それにXYZg馬たち。
ランキング的には4・5番手でも、人気では9番手10番手という事もザラにあり、その時点でお宝馬なんです。
そういうのを狙い撃ちにするべきかと。
そう言ったランキング馬たちが高配当を演出する確率の高い組み合わせパターンも研究しています。

少しタネ明かしをすると、100万馬券的中時に狙った☆印も実はE馬。
E馬を1着固定にして単独XYZg馬に流しました。

──そう、この☆印がすごいんです!

木下:手前味噌ではありますが、指数自体がしっかりしているので低いランクの馬でも馬券になる可能性は十分にあると思っています。
いつ高配当が飛び出すのかまでは分かりませんが、やみ雲に人気のない馬を狙うよりはずっと良いですよね(^^)

──はい、とても心強いです。

木下:偶然飛び出した100万馬券じゃなく、根拠があって狙った馬券がたまたま100万馬券になったというわけでした。
そのたまたまは必ずまた訪れると自負しております。
何故なら指数には絶対の自信を持っているからです。

──楽しみにしています!
今度100万馬券が出たら、お祝い持って伺いますので、
その時はヤンキー時代の写真を見せてください!
本日はありがとうございました!


予想は通常レース前日の夜以降にご覧いただけます。



プロフィール

●木下 健(きのした たけし)


1967年大阪府出身の元馬券生活者。
月刊誌「競馬最強の法則」1999年1月号で衝撃デビュー。鍛えあげられた「走馬眼」で見つけ出す「レベルの高いレース」が爆発的な人気を呼び、同誌での連載は9年の長きに渡った。
著書に『馬券生活者・木下健の競馬で妻子を養う男の馬券術』・『競馬で妻子を養う男の走馬眼』がある。